1070形

1350形と組んで連解基本編成用3連となり,冷房改造された1076 神戸電鉄1070形は・・・

 列車編成両数の増加に対応し,さらに輸送量の段差に応じて本線上で増結・解放をするために, 電気連結器付密着連結器を装備した連解仕様で登場したのが両運転台車1070形である。 当然ながら1両の中に必要な機器をすべて搭載して自力走行が可能であった。
 既に3000系で3扉となっていたが,1000系列では初めての3扉で,両運転台のため扉間の窓は2つだけである。 床下機器は1050形とほぼ同じである。

 電気連結器付密着連結器は粟生方に設置され,同仕様に改造された1100形と連解運用をこなしていた。
 1974年4月から始まった連解運用は,粟生線押部谷で,朝は粟生方面から新開地行の前側に増結して4連に,夕方は新開地発粟生方面行で解放して3連になっていた。 1980年4月からは増結・解放駅が志染に変更されている。

 ラッシュ時の輸送量の増大にともない連解運用の増結車も順次1両から2両になるにつれて,新開地側に1050形を連結して5両編成で使用されることが多くなった。 また,連解仕様以外の車両の有馬・三田・粟生方に連結されるような1050形奇数車的な使われ方をすることも多くなった。

<例> cMe cMc cM T Mc
+1062--1072**1124--1212--1123+
cM T Mc cMc
+1152--1251--1151++1071*など

 そんな中,+1360-1359*1358-1357+ が1984年8月に増備され,その粟生方に恒久的に1076が連結されて

cM2 M1c cM2 M1c cMc
+1360--1359**1358--1357++1076*
※車番アンダーラインは裾オレンジライン塗装を示す。

となり,5両連解運用に就くことになったが,1076は増結車としての運用からは完全に離脱することになり,後に連解仕様から一般の密着自動連結器に改造された。
 しかしながら冷房車と恒久的に連結されることから,この1076は1985年3月に神鉄では初めて冷房化改造された。 この際,SIVは撤去され補助電源は他車から供給を受けることになり,自力走行はできなくなった。

 その後,2001年の粟生線4連直通運転化に備えて2000年7月に編成替えが行われ,SIV容量アップ改造された1154×3の下り方に1076を連結して

cM T Mc cMc
+1154--1252--1153++1076+

の4連となる。

 1986年から,1071〜1073のパンタグラフとコンプレッサが撤去され,1050形偶数車との2両固定編成となった。

<例> cMe cMc cM T Mc
+1062--1072**1112--1206--1111+

 そのため,単独走行できるのは 1074 と 1075 のみとなったが, この2両も連解仕様から一般の密着自動連結器に改造されてしまい,予備車的な扱いとなって本線走行しているのを見ることは少なかったが, 3連・4連が検査入場などで編成が不足している際に,他車と連結して編成を組成するのに両運転台車で重宝していた。

 2001年6月〜8月にかけて1074が冷房改造されるとともに,+1352-1351+と3両固定編成化された。 その際,1074の新開地方運転台の一部機器が撤去されるとともに連結器が半永久密着連結器に変更され,さらにこの編成は2002年1月にワンマン運転対応改造が行われている。

cM2 M1o oMc
+1352--1351--1074+

 しかし,全線ワンマン運転化にそなえて4両編成のワンマン運転対応改造が施されることになり,この3連は編成を解かれ, 1074は2003年10月に1112×3と組み合わせて4連ワンマン運転対応編成となった。 また,1075も2004年8月に1114×3と組み合わせて4連ワンマン運転対応編成となった。

cM T Mo oMc
+1112--1206--1111--1074+
cM T Mo oMc
+1114--1207--1113--1075+

 2005年1月に+1060-1071*が編成を解かれ,それぞれ別々に4連固定化された1100形と連結して5連が組成されることになり,1071は1120Fと組んでいた。

cM oM T Mc cMc
+1120--1126--1210--1119++1071*

 2009年3月ダイヤ改正では5連運用が廃止されたため,1071は1120Fから解放されて運用を離脱,1050形と増結用2連を組んでいた1072と1073も運用を失い, 翌2010年4月に除籍・解体された。

 2016年に新形式6500系3連1編成が竣工するのを控えて,2016年3月に1112Fが運用から離脱し,編成をばらされて鈴蘭台車庫に留置されていたが, 2016年3月25日・26日深夜に2両ずつ市場駅作業場に回送され,それぞれ翌日中にトレーラーに載せられて深夜に搬出された。

cM T Mo oMc
+1112--1206--1111--1074+廃車

 2020年3月14日ダイヤ変更で4連運用数が減少し,1114Fは運用を離脱,2020年3月16日付で除籍, 2020年6月3日深夜に1113とともに1075が1376-1375-1374-1373の牽引により市場駅作業場に回送され,それぞれ翌晩にトレーラーにより廃車搬出された。

cM T Mo oMc
+1114--1207--1113--1075+廃車

1070形車歴表 (←新開地−−−−−−粟生・有馬・三田→)
赤字でアンダーラインの車番の部分をクリックすると各車両履歴のページを表示します。
cMc竣工塗装裾ライン 固定編成化 冷房化塗装変更塗装再変更廃車備考
+1071*1974年3月--- 1986年10月(+1060+と)
2005年1月(+1060+とは編成解除し1120Fと5連)
2009年3月1120Fから編成解除
---1987年10月2007年1月2010年4月
+1072*1974年3月--- 1986年12月(+1062+と) ---1987年9月---2010年4月
+1073*1974年3月--- 1987年3月(+1064+と) ---1987年10月---2010年4月
+1074+1974年5月--- 2001年8月(+1352-1351+と)
2003年10月(1112×3と)
2001年8月1986年10月2000年6月2016年3月連解装備撤去
+1075+1975年4月--- 2004年 8月(1114×3と) 2004年8月1988年2月2001年 5月2020年3月連解装備撤去
+1076+1976年7月1982年6月 1985年3月(*1358-1357+と)
2001年6月(1154×3と)
1985年3月1989年10月2006年12月---連解装備撤去
* : 連解仕様(電気連結器付密着連結器)
+ : 密着自動連結器
- : 密着自動連結器または半永久連結器
固定編成化:1050形奇数車または1070形のパンタグラフ・コンプレッサなどを撤去
本来の使用方法であった4両連解運用で活躍していた頃の1074 ↑本来の使用方法であった,4両連解運用で活躍していた頃の1074
パンタグラフ等を撤去されて1050形偶数車と固定化された1071 ↑パンタグラフ等を撤去されて1050形偶数車と固定化された1071
1999/08/14 新設,2021/04/17 最終更新

車両ガイド   神戸電鉄   神戸鉄道資料館