381系は急曲線での速度向上を図るために国鉄時代に開発された自然振り子式電車で,1973年から中央(西)線特急「しなの」に投入されたのをはじめ, 1978年に阪和線・紀勢本線特急「くろしお」,1982年に伯備線特急「やくも」にも投入されました。 重心を低くするため冷房装置が床下に配置されており,屋根上が非常にすっきりしていること,振り子傾斜時の車両限界の関係で車体下部の絞りが大きいことが外観上の特徴です。
福知山線には団体臨時列車などで乗入れてきたこともたびたびありましたが,最初に定期列車に充当されたのは2011年3月で, 183系A編成とC編成を287系に置き換える際に287系竣工時期の関係で同年6月まで, 日根野電車区(当時)から381系モノクラス6連×3編成を借り入れて一部の「こうのとり」で運用されたものです。 借り入れた編成は,2011年3月に運転終了した「はんわライナー」と「やまとじライナー」に運用されていたものでした。
福知山線での381系の運用は一旦終了しましたが,183系B編成を置き換えるため,2012年3月から吹田総合車両所日根野支所の381系が順次転入し, 2012年6月から徐々に183系運用を置き換え,2013年3月で381系に移行完了しました。 転属してきたのは「くろしお」用として同支所に287系が投入されて余剰となったパノラマでない編成で,福知山区ではFE41およびFE61〜FE66編成を名乗り(当時), 「こうのとり」・「きのさき」・「はしだて」で運用,福知山線・山陰線の大阪・京都〜城崎温泉と北近畿タンゴ鉄道の福知山〜天橋立など,北近畿エリア一円を走っています。
北近畿エリアを走る381系は国鉄特急色の美しい姿で走ってきましたが, 2015年3月の北陸新幹線開業に伴って余剰となった交直流683系2000番代(しらさぎ編成)を直流専用の289系として北近畿エリアと南紀エリアに投入して381系を廃車にすることが, 2015年5月にJR西日本から公式発表されました。これにより381系が現役として走るのは伯備線〜山陰線の「やくも」だけとなります。
日根野電車区の381系のうち,新宮方先頭車が非パノラマグリーン車クロ381の編成で,通常は6両編成,多客期には中間車3両を組み込んだ9両編成で「くろしお」として運用されていました。 ホワイトをベースに窓周囲がオーシャングリーンの配色でしたが,福知山電車区への転入時に国鉄特急色に戻されています。
北近畿エリアでは下り(城崎温泉方)先頭車がクロ381で,通常は4両編成,多客期にはモハ1ユニットを組み込んだ6両編成で走ります。
振り子機能を最大限発揮する(振り子傾斜角度5°)には架線など地上設備も対応する必要がありますが, 北近畿エリアでは地上側は対応しておらず,振子機能を停止して走っていました。 2014年6月ころから乗り心地向上のため,既存の地上設備がそのままで許容される3°まで傾斜するように対応して車番も+1000の1000番代となっています。
2015/05/31 記
2015/05/31 記
つづく・・・