「トワイライトエクスプレス」は,青函トンネルが開通してまもなくの1989年7月から大阪〜札幌で運行開始した寝台特急列車。 24系25形客車を個室主体の特別仕様寝台車に改造,食堂車は485系特急電車の食堂車サシ481からの改造で, ダークグリーンに黄色のラインを纏い,それまでの寝台特急列車ブルートレインから大きくイメージを変え,列車で移動するだけでなく,乗ることそのものを楽しむ列車でもあります。 始発駅を昼に出発し,その名のとおり,夕陽を眺めることができる時間帯に走るダイヤが設定されています。
大阪〜青森は客車と同様にダークグリーンに塗装されるとともに乗り心地向上のため密着自動連結器に変更されたEF81,青森〜函館はED79,函館〜札幌は北斗星色DD51重連に牽引されます。
当初は団体専用列車として運行を始めましたが,同年12月から一般発売の臨時列車として運行されています。 通常期は大阪発月・水・金・土曜日の週4日(札幌発はその翌日), ゴールデンウィーク・夏(6月中旬〜8月中旬)・年末年始・さっぽろ雪まつりの期間は3編成をフルに使用して毎日運転されてきました。
2016年春に開業する北海道新幹線との共用区間である新中小国(信)〜木古内で新幹線用設備検査等のため, 2014年10月以降,運転曜日の変更や運転時刻が変更される日がありました。
さらに,北陸新幹線開業によりトワイライトが走る北陸本線・信越本線の一部がJRから第3セクターに移管される2015年3月にトワイライトエクスプレスの運行を終えることが, 異例に早い10ヶ月も前の2014年5月28日に発表されています。
そのため,北海道の観光シーズンには元々から寝台券が取り難かったこの列車,一層,寝台券を確保するのが困難になりました。
北陸新幹線が金沢まで延伸開業した2015年3月,JR西日本とJR東日本が並行在来線となる北陸本線の経営を放棄したため, 同線を走る大阪〜札幌のトワイライトエクスプレスも運行が取り止めになりました。
青函トンネル開通以降に鉄路で渡道する時は往路か復路のいずれかに乗車してきた列車。 定番な場所ばかりですが,これまでに記録した最近の「トワイライトエクスプレス」の姿をピックアップしたいと思います。
まだまだ夜行列車や国鉄型特急列車が多数走っている2013年春の北陸地方。
晴れ渡った青空の下,雪が残る立山連峰雪を臨みながらトワイライトが北へ向かいます。
稲の収穫も終わり,静けさを取り戻した倶利伽羅の里をトワイライトエクスプレスが北の国から戻ってきました。
トワイライトエクスプレスが運行を終える1ヶ月前,雪降る南越前を行くTwilightを撮影にやってきました。
青森から先頭に立ってきたパーイチの顔はまさに雪化粧?
これから札幌へ向かうTwilight Express。 この日は琵琶湖沿い北部でも雪が降り続いており,北陸トンネルを抜けてきたばかりですが,すでに牽引機のヘッドマークに雪が付着。 さらに銀世界の中を雪を巻き上げて駆けて行きます。
青函トンネルを含む津軽海峡線専用の赤い電機ED79がトワイライトエクスプレスを牽引するのは早朝(下り)と夕刻遅め(上り)の時間帯で, 撮影できるのは夏至を中心とした短い期間のみ。 そんなED79牽引列車の撮影に,6月の津軽海峡線に行きました。
まずは青函トンネルを抜けて北海道に入り最初に通過する駅であった知内駅。 ED79牽引トワイライトエクスプレスが夜明けに新幹線規格の線路を通過していきます。
知内は2014年3月に旅客扱いが廃止され,信号場(湯の里知内信号場)となってしまいました。
翌日は江差線の海沿いにあるSカーブ。
トワイライトエクスプレスをED79が牽く区間では旅客の乗降扱いがないためかヘッドマークがありません。
トワイライトエクスプレスが江差線を走る時間は,8月になると定刻なら日の出時刻ぎりぎり。 しかし,この日は大幅に遅延しており,かなり明るくなってからの通過でした。
普通なら列車の遅延は利用者にとっては困ったことなのですが,乗ること,そして車窓を楽しむことが楽しみであるトワイライトエクスプレスの乗客にとっては, 本来なら見ることができない津軽海峡の風景を見ることができて良かった〜と思う人も多かったのではないでしょうか。
夜行列車としては始発駅を昼過ぎという早い時間帯に出発するトワイライトエクスプレスですが,ここ,駒ヶ岳が見える大沼・小沼沿いを走るのは夕刻遅めの時間。 8月になると,天気がよければ駒ヶ岳はきれいに見えるものの残念ながら列車には陽が当たりません。
この日は残念ながら駒ヶ岳に少し雲がかかってしまいましたが,ほんの少しだけトワイライトっぽい?
雪国の鉄道に乗って雪国の鉄道を撮影に行きました。 あけぼの→はまなす→トワイライトエクスプレス・・・と夜行列車3連泊。
まず,あけぼの の ゴロンとシートに乗って青森へ。津軽線を走るED79・EH500が牽く貨物列車とスーパー白鳥や白鳥など北海道新幹線が開業するとなくなってしまう列車を撮影。 雪中撮影で冷えきった体を青森まちなかおんせんで暖めて,はまなす の のびのびカーペットカーで札幌へ。 札幌近郊で,雪晴れの中のトワイライトエクスプレスを撮影。
撮影したトワイライトの折り返しに乗り,のんびりと22時間の列車の旅を楽しみながら帰路につきます。 乗車するTwilight Expressが札幌駅に入線するところをカシャッ。
この時は,年末年始と雪まつりの間のシーズンオフということもあって,Twilight Express の切符も難なく取れました。
冬至の時期の北海道大沼・小沼をトワイライトエクスプレスが通過するのは,通常ならまだ真っ暗な時間ですが,この日は本州内日本海沿いでの大雪と強風の影響で大幅な遅れとの情報。
ここ凍てついた小沼でも吹雪の状況の中,トワイライトがやってくるのが見えてきました。と同時に背後からも何かが近づいてくる音・・・・・・あっーーー
ではなく,実は吹雪いている状態でほとんど視界が効かず,トワイライトが接近していることには気づいていませんでした。 先に背後からのディーゼル音が聞こえていたので後追いで撮ろうとカメラのライブビューでピントと露出を合わせていたら, トワイライトがすぐそこまで来てたというのが本当のところです。
対向列車が単行だったのでなんとか先頭はクリアしましたが,巻き上げた雪とエグゾーストのため,ヘッドマークの色で辛うじて Twilight Express とわかる状況でした・・・
氷結した大沼(小沼)湖畔で元々撮れるとは思っていなかったものの中途半端な感じでトワイライトを撮ってしまったために, 無性に雪の北海道でトワイライトを撮り直したくなって,また冬の北海道にやってきました。
最も北海道らしいと感じる雪の原野,木々にも雪が積もって,思い描いたとおりの雪景色の中を行くTwilight Expressを撮影することができました。
トワイライトが団体貸切列車として運転されるとき,道内の牽引機DD51にはヘッドマークが掲出されません。 次にトワイライトを撮影したのは,団臨としてなのでカンなしのトワイライト。 DD51重連にピンクのヘッドマークがついている姿を見慣れていると,ヘッドマークなしではちょっと寂しいですね。
これが私にとって北海道でのTwilight Expressのラストショットとなりました・・・。
トワイライトエクスプレスは,通常は週4往復,多客時には毎日,大阪〜札幌の間を走る豪華寝台列車ですが,団体臨時列車として他の区間で運転されることもありました。
2003年4月15日には岡山から札幌まで,2003年4月17日には札幌から広島まで団臨として運転され,JR神戸線を走りました。 なお,大阪〜札幌はほぼ通常のトワイライトエクスプレスのダイヤで走ります。 山陽線でもF81トワイライト機により牽引されています。
ちなみに,岡山から札幌まで24時間26分,札幌から広島まではなんと28時間16分かけてたどり着きます。
2010年10月21日発で大阪から米原経由で一旦敦賀へ向かった後,敦賀から湖西・東海道・山陽経由で下関まで, 翌22日発で下関から大阪まで団臨として運転されました。 大阪〜敦賀〜京都はEF81トワイライト塗色機,京都〜下関〜大阪はEF65 1134号機が牽引しました。
翌2011年にも,大阪発8月26日,9月2日(台風のため取り止め?),9月9日,9月16日で, 同じコース(大阪〜米原経由〜敦賀〜湖西・東海道・山陽経由(ヨ)〜下関,下関〜(ヨ)〜大阪)の団臨として運転されています。 大阪〜敦賀〜京都はEF81トワイライト塗色機,京都〜下関〜大阪はEF65PFが牽引しました。
また,2012年も大阪6月14日発〜16日着と8月30日発〜9月1日着,2013年は大阪2月21日発〜23日着,2014年に大阪1月16日発〜1月18日着,2015年にも大阪1月15日発〜1月17日着で 琵琶湖一周後に下関に向かう団臨が同じパターンで運転されています。 なお,2015年1月の運行ではEF65PF牽引区間でヘッドマークは掲出されませんでした。
2012年にはトワイライト編成のうちの7両で九州まで団臨として運転されました。 旅客扱い区間は新大阪〜宮崎。回送も含めた運転経路は, 2月12日発宮原操〜(回送)〜向日町操〜(回送)〜新大阪〜(ヨ)〜下関〜宮崎〜(回送)〜都城〜(回送)〜大分, 2月14日発大分〜(回送)〜南宮崎〜(回送)〜宮崎〜下関(ヨ)〜新大阪〜(回送)〜向日町操〜(回送)〜宮原操で, 本州内はEF65PF,関門〜九州内はDE10重連が牽引しました。
2013年にもトワイライト編成のうちの7両で九州まで団臨として運転されています。 運転経路は, 1月31日発新大阪〜(ヨ)〜下関〜大分, 2月1日発大分〜下関〜(ヨ)〜大阪で, 本州内はEF65PF,関門〜九州内はDE10重連が牽引しました。
2013年7月から9月にかけて開催される広島デスティネーションキャンペーンに向けて, 瀬戸内を臨む山陽線〜呉線をトワイライトエクスプレス車両で行くランチクルーズ列車が旅行会社主催の団体臨時列車として運行されました。
運行日は2013年2月19日・28日,3月19日・28日,4月2日・9日,5月21日,6月4日,9月3日・12日・17日・26日。
クルーズ列車としての運行区間は岡山から山陽線・呉線経由で広島まで。 車両の運転経路は,宮原操〜(回送)〜岡山〜<呉線経由クルーズ列車>〜広島〜(回送)〜岩国〜(回送)(ヨ)〜宮原操で, トワイライト編成のうちの6両を全区間EF65PFが牽引しました。
2013年は,伊勢神宮で20年に一度の式年遷宮と出雲大社で60年ぶりの大遷宮の年。 近鉄とJR西日本の豪華特急列車に乗車して伊勢神宮と出雲大社を参拝するツアーが実施されました。
2013年10月9日に近鉄で大阪上本町から,式年遷宮に合わせてこの年にデビューした観光特急「しまかぜ」に宇治山田まで乗車して伊勢神宮に参拝。 五十鈴川から京都へも「しまかぜ」に乗車後,京都からはJRのトワイライトエクスプレス車両に乗車。 東海道線・北陸線で敦賀を経て湖西線まわりで琵琶湖を一周した後,東海道線・山陽線・伯備線経由車中泊で出雲市まで乗車して出雲大社参拝。 帰路は「やくも」と新幹線で新大阪までの旅程です。
トワイライト編成は7両で,京都〜敦賀〜京都でEF81,京都〜出雲市でDD51が牽引し, 帰路は10月10日出雲市発翌朝大阪着の団体列車として伯備線経由で全区間DD51牽引により運転された模様です。(写真)
同じコースで2014年1月29日出発,1月31日大阪着の日程でも運行されています。
つづく・・・